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認知症

認知症 ~親が認知症になったら~

① 親が認知症になった

親が認知症になった

新木三郎(会社員:47歳)は妻と2人の子どもの4人家族。横浜で暮らしている。
三郎は3人兄弟の末っ子。子どもの頃から母親に可愛がられて育った。母親の八千代(75歳)は、故郷の静岡で一人暮らしをしている。
三郎は仕事が忙しいのにかまけて、新幹線で1時間ほどの実家に3年近く帰っていない。それに、妻と八千代の折り合いも良くないのだ。

ある日、三郎は父親の法事のことがあり、八千代に電話をかけた。久しぶりだったので、八千代が10年ほど前から入っているコーラスグループのことを聞いてみた。

三郎
「母さん、コーラスにはまだ通っているの?」
八千代
「…コーラス…?」

八千代の返答だった。三郎は何か不都合なことでもあったのかと思い、話題を変えた。

三郎
「父さんの七回忌の件、お寺に話してくれた?」

八千代の返事はすぐには返ってこず、少しの沈黙のあとに驚くことが起こった。

八千代
「ちょっと!どうして、そういうことばっかり言うの!」

突然、八千代が大声で怒鳴り始めたのだ。

八千代
「そうやって、みんなで私をバカにして!」

そして電話は一方的に切れた。 三郎は、母親の豹変した態度に驚き、携帯電話を持ったまま立ち尽くした。

翌朝、三郎は八千代になんと声をかけていいかわからないまま電話をした。

三郎
「母さん、大丈夫?昨日はごめんね」
八千代
「えっ!どうしたの、何かあったの?」

八千代の言動があまりにも奇妙なので、三郎は急遽、静岡に帰ることにした。三郎が週末に帰ると告げると、八千代は喜んだ。
三年ぶりで実家の玄関に入ると、八千代が目を丸くして三郎を見た。

八千代
「あらぁ!どうしたの?突然ね!仕事で近くに来たの?」

三郎は、そら恐ろしくなった。いったい八千代に何が起きているのか。“認知症”という言葉が頭をよぎった。まさか自分の母親に限って…。

八千代
「なに、ぼんやりしているの?さぶちゃん、さぁさぁ中に入りなさいよ」

八千代はお茶とお菓子を出してきた。暑い田舎道を歩いて来たので、三郎は一気にお茶を飲み、出されたカステラを口に入れた。
瞬間、体に冷たいものが走った。出されたカステラは腐っていたのだ。
よく見てみると、台所には使ったままの焦げた鍋や食器類があたり一面に散らかり、小バエが飛んでいる。
冷蔵庫にはモノが詰め込まれ異臭を放っていた。八千代からもツンとした体臭がする。三郎は、目の前の現実に茫然となった。

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② グループホームに入所する

親が認知症になった

 八千代の今後の生活についてどんな手立てがあるのか。三郎は、市役所の高齢介護課に相談した。
 市役所では、介護保険サービスを使えるように要介護認定の申請を行うこと、認知症の原因や進行について相談できるように医療機関で受診すること、生活の場をどこにするか、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)や施設入所も視野に入れて検討すること、の三つのアドバイスをもらった。

三郎はすぐに、総合病院の認知症外来の予約センターに電話をしたが、3カ月先まで予約はいっぱいだった。
“3カ月も待っていられない”と思い、近所の診療所に八千代を連れていった。

認知症テストは12点という結果で、おそらくアルツハイマー型認知症だろうと診断された。
医師からは、念のために総合病院で画像診断を受けるようにと言われた。

看護師からも

看護師
「ガスの管理、身の回りのこと、電話のかけ方もわらからなくなっているようなので、地域包括支援センターに行って、今後の生活の仕方について相談したほうがいいですよ」

とアドバイスを受けた。

さっそく地域の高齢者相談窓口である地域包括支援センターに行き、状況を話した。

スタッフ
「介護保険サービスを利用すれば、今は何とか生活できるかもしれませんが、今後、認知症が重度化したときには、生命の危険も高まります。
今後のことも考え、グループホームや介護保険施設の利用も検討してみては…」

地域包括支援センターでは、そう言われた。

しかし介護保険施設はどこも満床で、いつ入所できるかわからないという。
グループホームは、介護保険制度では「地域密着型のサービス」に分類され、どこでも利用できるわけではない。
市内のグループホームか、市外では市が指定しているところだけが利用できるという。
三郎は会社に休暇の延長を申請して、母親といくつかのグループホームを見て回ることにした。
遠くで暮らす2人の兄にも電話で相談し、母親が他の利用者とすんなり話しができたところに入所することに決めた。

グループホームの料金は、月10万円ほど
そのほかに医療費や介護保険制度の自己負担も発生する。八千代は年金生活で貯蓄もほとんどない。
認知症のためお金の管理ができなくなり、不要な買物までしてしまったようだ。
八千代はグループホームの料金を払うことができないため、兄弟でお金を出し合うことにした。
三郎の妻は、子どもにお金がかかる時期であること、何より八千代との折り合いが良くないことから、快い顔はしないだろう。
今後も八千代の介護には費用がかさむ。
妻に遠慮をしながらの生活になるだろうと思うと、三郎はますます気が重くなった。

  • ※厚生労働省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室の「認知症高齢者グループホームに関する調査結果について」によると、平成21年10月時点の月額利用料(家賃、食材料費、光熱水費)の全国平均は92,801円となっています。

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③ Point

  • 万が一の親の介護に備えて、何らかの方法で資金の準備をしておきましょう。
  • 認知症は、早い段階で認知症疾患センターや、地域の認知症専門医を受診して正確な診断を受けましょう。
  • 治る認知症、症状を改善できる認知症もあります。認知症専門医やケアマネジャーなどに相談しましょう。

ボタンを押して本サイトをお勧めしてください。

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