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事例で見る5疾病

脳卒中 ~手足が動かない!気づいたら病院だった~

① 手足が動かない!救急車を要請

6月1日夜

(ガッターン)
大きな音がして、びっくりした幸子は浴室へ駆けつけた。

幸子
「あなた、どうしたの?」

太郎は浴室の洗い場にうずくまっていた。ちょうど体を洗い終わってお湯を流したところだった。

太郎
「あぁ。立ち上がろうとしたけど、ちょっと力が入らなくて足を滑らせた。驚かせてごめん。」
幸子
「大丈夫?どこも打ってはいないのね?」

太郎は幸子に支えられながら、浴室から出てなんとか身支度を整えた。

太郎
「なんだか吐き気がする。横になるよ。」

と、体を横にしようとするが、左半身が動かしづらくなっていることに気づいた。

太郎
「左側の感覚がない・・・。」
幸子
「あら、どうしましょう。大変だわ。病院に行きましょう。」
太郎
「あぁ。救急車を呼んでくれ。」

今まで経験したことのない異常な感覚を感じた太郎は、自力で病院に行くことが難しいと判断し、幸子に救急車を頼んだ。

太郎は58歳で自動車メーカーの工場に勤務している。
毎日大体夜7時ごろには帰宅し、晩酌をしながら夕食をつまむ生活が長年続いている。毎日のビールが何よりの楽しみだ。
今日もいつもと同じように晩酌後、気持ちよく入浴していたところ、このような症状に襲われたのだった。

救急車が到着するころには、左半身はまったく自力で動かすことができなくなっており、触れても感覚がなかった。
かろうじて意識はあったが、嘔吐もしていた。
太郎は幸子に付き添われそのまま救急病院へ搬送された。
高校受験を控えたひとり娘の由紀はまだ塾に行っている時間だったが、幸子が携帯電話へ連絡し、すぐに病院へ駆けつけてきた。

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② やはり脳出血だった・・・

一通りの検査後、救急外来のベッドサイドで医師は横になったままの太郎と幸子に告げた。

医師
「脳出血です。」

医師はCTの画像を指差しながら説明した。 太郎は意識が混濁しており、まともに説明を聞くことはできない状態となっていた。点滴と酸素マスクと心電図モニターがつながれている。

幸子
「そうだったんですね。」

代わりに幸子が答えた。

医師
「脳出血とは、脳内の動脈が破れて出血し、血液が脳内に溜まっている症状です。血の塊がある部分によって障害が生じる箇所が異なりますが、太郎さんの場合、脳の中にある 「被殻(ひかく)」という部分に出血がみられます。右側の被殻部分の出血なので、左側の麻痺や感覚障害が引き起こされている状態です。太郎さんの場合は血の塊を取り除く外科的手術を緊急で行う必要があります。」
幸子
「あの・・・、どれくらい入院するのでしょうか。」

幸子が質問すると、医師は、今後の見通しを説明した。

医師
「脳出血での入院期間は回復の程度によりそれぞれですが、平均で4ヶ月程度です。 太郎さんの場合は、手術後2~3週間で容態が落ち着いたら、リハビリテーションのための病院を紹介いたします。太郎さんの症状を踏まえると、そちらでの入院期間は1~2ヶ月くらいになると思います。」
幸子
「そんなに・・・。そうしたらもう元通りになるんでしょうか。後遺症が残るのでしょうか。」
医師
「治療が順調に進んだとしても、障害が生じた箇所が完全に回復するわけではないので、残念ながら何らかの症状が残ることが多いのが現状です。 ただ、リハビリテーションをすることで運動機能などの回復に効果が期待できます。ただし劇的に回復するということはなく、リハビリテーションが長期間になることもありますので、幸子さんも精神的な支えになってあげてください。」

救急車で運ばれはしたが、診察し治療を受けたらすぐに帰れるものと思っていた幸子は、これからの闘病の長さと太郎の体が完全に元通りにならないということに、肩を落とし、重いため息をついた。

  • ※厚生労働省 平成20年患者調査:脳内出血での平均在院日数 129.3日

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③ そのまま緊急手術へ!

6月1日深夜

準備が整った後、そのまま緊急で「開頭血腫除去術」といって、頭を切り開いて脳内の血の塊を取り除く手術が行われた。
太郎は真夜中過ぎに手術室に入り、未明には脳外科病棟の用意されたベッドに戻ってきた。 幸子と娘の由紀は、眠い目をこすりながら病室で太郎の帰りを待っていたのだった。

有紀
「お父さん…」

由紀が話しかけるとうっすらと目を開け、視線を合わせたが、呼びかけにこたえることはなかった。酸素マスクや点滴や心電図モニター、尿の管などあらゆる管が太郎につながっていた。

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④ 手術後、さっそくリハビリテーションの開始

6月3日

手術後2日目、まだ起き上がることはできなかったが、意識はだいぶ回復し、言葉による意思疎通ができるようになった。
ただし、太郎の言葉は聞き取るにはまだ不明瞭な部分も多かったので、幸子はなるべくイエス、ノーで答えられる質問をして太郎の負担にならないようにした。

その日の午後にはリハビリテーションスタッフが太郎のベッドサイドにやってきて、手や足の曲げ伸ばしなどのリハビリテーションを行っていった。
左半身の麻痺や感覚障害は残っており、自力で動かすことはできなかった。
動かないからといってほうっておくと、そのまま硬くなってしまうため、他人の力で動かしてもらう必要があった。

手術後1週間もすると、電動ベッドの頭部分を持ち上げれば起き上がれるようになり、看護師に支えられながらもベッドから車椅子に移れるまでに回復した。 幸子が太郎の車椅子を押して、病院の売店まで買い物に出かけた。こんな風に太郎を乗せて自分が車椅子を押すなんて、つい最近までは思いもしなかった。 買い物を終えて病室に戻り、車椅子からなんとかベッドに戻ったところ、太郎が幸子に、

太郎
「すまないな。」

と言った。

幸子は聞き間違えかと思い太郎を見ると、目が合った。
けんかをしても自分から謝ったことのない太郎の言葉とは思えなかった。

毎日幸子に車椅子を押してもらい、太郎は病室からリハビリテーション病棟まで通った。まだ支えがないと自力で起き上がったり、車椅子に移ったりすることは難しかったが、手術後2週間もすると、左足に力が入りはじめ、ほんの少しだけ動かせるようになってきた。 手術後の経過も良好のため、太郎は医師からリハビリテーション病院を紹介してもらい、手術からちょうど3週間後、転院する運びとなった。

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⑤ そして、リハビリテーション病院へ転院・・・

6月21日

退院前日、病棟の医療事務担当員が病室を訪れ、入院費用について知らせてくれた。

医療事務担当員
「入院費用には、手術代、検査代、薬代、リハビリテーション代などの医療費に加えて、入院中の食事代などが含まれております。お支払いただくのは健康保険の自己負担金額3割となりますので明日退院時にご用意をお願いいたします。」

といって、概算240万円(3割72万円)と金額が書かれた紙を差し出した。

医療事務担当員
「きちんとした明細は退院時に、お出しいたします。それから、『高額療養費制度』などの制度を利用することで実際の自己負担額は軽減されますので、確認してみてください。」

幸子は渡された紙に書かれた金額に少なからずショックを受けた。これまで、太郎の身体が毎日少しずつではあるが良くなっていることばかりに目が向いており、お金のことを考える余裕がなかったことに気づいた。 これから転院するとまだまだお金はかかる。一家の収入は太郎にかかっている。社会保険制度に傷病手当金があるのは知っているけれど、支出が次々に膨らんでいくことが、急に不安になってしまった。

太郎
「心配かけて悪いな。だけど由紀にお金の心配はさせるなよ。」

幸子の顔色を汲み取って、太郎が声をかけた。

翌日、太郎は予定通り、車椅子に乗ったまま車に乗り込み、リハビリテーション病院へ転院した。 救急車がひっきりなしにやってくる病院と違い、玄関ホールにも自然光が差し込み、どこかのんびりした雰囲気を感じさせる病院だった。 (ここでどれくらいの間お世話になるのだろう・・・)幸子が手続きをしている間、太郎は病院の入り口でホール全体をぐるりと見渡した。

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⑥ 転院~仕事復帰

リハビリテーション病院では、退院までの2ヵ月半の間、午前、午後と毎日精力的にリハビリテーションを行った。 入院時は車椅子だったが、退院するときは杖をついて、左足をやや引きずるようにゆっくりと歩行できるまでになっていた。
左手は左足ほどの感覚も戻っておらず、手先の細かい動きは難しかった。
しかし、右利きだったこともあり、食事や入浴、衣類の着脱などの日常生活の動作はゆっくりだが全て自力で行えるようになっていた。退院時の医療費は、主に入院代やリハビリテーション代で、約76万円だった。このほか食事代が約6万円かかった。
欠勤が続いていたため収入も減っており、生活は少し苦しかったが、貯金を切り崩しながらなんとかやりくりした。

退院後、自宅周辺を散歩するなどしてリハビリテーションを続けながら、仕事復帰にあたっての、勤務時間や仕事内容などの調整を会社と重ねていった。
そして、リハビリテーション病院を退院してから2ヵ月後、風呂場で倒れてから158日後、無事仕事復帰を果たしたのだった。

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⑦ まとめ

主な治療内容 開頭頭蓋内血腫除去術(かいとうずがいないけっしゅじょきょじゅつ)
医療費(概算) 3,150,000円
急性期病院入院期間 22日(6月1日~6月22日)
リハビリテーション
病院入院期間
76日(6月22日~9月5日)
就業不能期間 158日
  • ※公的医療保険制度および高額療養費制度利用後の自己負担額は、この金額よりも低くなります。
    たとえば、公的医療保険制度による医療費の自己負担を3割、高額療養費制度を利用する際の年齢区分を「70歳未満」、所得区分を「一般」、医療費の各月の内訳を次の前提とした場合、自己負担額は約260,000円となります。
    6月:急性期病院:2,390,000円 リハビリテーション病院:90,000円
    7月:リハビリテーション病院:310,000円
    8月:リハビリテーション病院:310,000円
    9月:リハビリテーション病院:50,000円
  • (注)本事例は、各傷病で想定される具体的な症状や治療・経過を基に作成しており、金額は2012(平成24)年4月の診療報酬・公的医療保険制度に基づいて算出しています。

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