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事例で見る5疾病

急性心筋梗塞
~突然の胸の痛み!大がかりな手術をすることに~

① 突然の胸の痛み!救急車で運ばれる

胸を押さえひざまずく次郎

7月1日

ピーポーピーポーピーポー(救急車の音)

薄れ行く意識の中で、朝いつものように送り出してくれた妻の顔、最近遅い帰宅が続いているため、ろくに顔も見ていない息子の顔、会社で抱えているプロジェクトのことなどが走馬灯のように駆け巡っていた。
大げさだがこのときは
「死んでしまうのではないか、いやまだ死にたくない。」
そんな気持ちだった。

私、次郎は現在55歳の商社に勤めるいわゆるサラリーマン。
通常の仕事に加えて最近立ち上がったプロジェクトが重くのしかかり、オーバーワークが続き、家へは寝に帰るだけの生活が続いていた。
誰もがそうだと思うが、まさか自分の身にこんなことが起ころうとは想像すらしてなかった・・・。

初夏のある晴れた日、取引先との打ち合わせを終えた後、なじみのラーメン屋で昼食をとった。そして会社へ戻ろうと、タクシーを止めた瞬間、火箸で刺されたような激烈な胸の痛みに襲われた。
立っていられなくなり、苦痛で顔がゆがんだ。
タクシーの運転手が運転席を降りて近づいてきたが、言葉が出てこなかった。ひたいからは冷や汗が流れた。
「倒れる。」そう思ったとたん、意識が遠のいていった。運転手が携帯電話で救急車を要請する声が遠くに聞こえた。

次郎の妻、花子は最近フラワーアレンジメントにはまっており、その教室からちょうど自宅に戻ったところ電話が鳴った。
聞いたことのない病院の看護師が夫の名前を口にしている。
救急車で搬送されたということと声の調子から、ただ事ではないということだけがわかった。
何を言われたか上の空だったが、とにかく言われた病院へ駆けつけた。

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② 病名は急性心筋梗塞だった

病院に到着し名前を告げると、花子は無機質なテーブルと椅子のセットがある小部屋へ案内された。
少し遅れて白衣を来た中年の医師と看護師が現れた。

花子
「夫は・・・、いったい・・・。」
看護師
「今集中治療室で処置を行っています。面会できますので、あとでご案内しますね。」

と看護師が口を切った。

医師
「次郎さんは○○町で倒れてここに運ばれました。急性心筋梗塞でした。」

続けて、医師は心筋梗塞について、心臓の模型を示しながら簡単に説明した。
心筋梗塞とは心臓に血液を送る重要な血管(冠動脈)が狭くなったり詰まったりして、心臓の筋肉(心筋)の一部に十分な栄養が供給されなくなり、栄養の行き届かなかった部分が死んで動かなくなってしまう病気ということだった。

心臓の血管造影検査を行ったところ、次郎の場合、今回詰まった血管以外にも、いくつか重要な血管が詰まりかけており、容態が安定したのち外科的手術が必要ということだった。

医師からの説明を受けたあと、整理しきれない頭をかかえたまま花子は集中治療室へ案内された。
次郎は点滴や心電図のモニターなどあらゆる管や機械に囲まれていた。ベッドサイドでは心電図のモニターがピコンピコンと音を鳴らしていた。
顔色はいくらか青白く、目はつむったままだった。
人工呼吸器で補助されながら、規則的に呼吸している様子がわかる。
(生きている・・・。)
花子はそう思い、いくらか安堵した。

花子
「おとうさん・・・。」

口にしてみたが、反応はなかった。
これからどうすればいいのだろう。花子は呆然と次郎の顔を眺めることしかできなかった。

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③ 大がかりな手術をすることに・・・

心臓バイパス手術

7月4日

数日後、容態も持ち直し、手術の日程が決まり、花子は医師と看護師から手術についての説明を受けることとなった。
次郎が受けるのは「冠動脈(かんどうみゃく)バイパス手術」というものだった。
胸を開いて、詰まった心臓の動脈にバイパス(迂回路)をつくる治療法で、バイパス用の血管には、次郎の胸の内側の動脈を使うということだった。

手術後は数日間集中治療室で経過をみたのち、一般病棟へ移り、退院に向けてのリハビリテーションや生活指導などを行う予定のようだ。
順調に行けば、手術後2~3週間程度で退院できるらしい。

最後に、

看護師
「何か不明な点や、困ったことなどありませんか?」

と声をかけられた。

花子
「・・・大丈夫です。」

花子の本心は不安でいっぱいだったが、そう答えるしか言葉が思い浮かばなかった。

まだ面会時間があったので、次郎の顔をみてから帰ろうと思い部屋を出ようとしたところで、看護師に聞いておきたいことを思い出した。

花子
「あっ。すみません。ちょっとお伺いしておきたいことが。」

花子は先ほどの看護師の後姿に話しかけた。

花子
「実は治療費のことが心配で。私は長年専業主婦ですし、息子も高校生でまだまだお金がかかります。
今回次郎は集中治療室で手厚く診ていただいた上に、大きな手術となると、どれくらいかかるのかと正直心配で・・・。」
看護師
「そうですね。不安な気持ちお察しします。ナースステーションに医療事務担当員がいますので、いつでもお声かけください。概算でよければお伝えできますので。」

ナースステーションにはチェック柄の制服を着た若い女性がパソコンに向かっており、一目で医療事務担当員だとわかった。

医療事務担当員
「次郎様の場合、手術代、薬代、検査代、リハビリ代などを含めた医療費はだいたい400万円かかります。
健康保険の自己負担金額は3割になりますので、ご用意いただくのは120万円ほどだと思いますが、『高額療養費制度』などの制度を利用することで、実際の自己負担額は軽減されますよ。
ただし、入院時の食事代、差額ベッド代などは制度の対象外となりますのでご注意くださいね。」
花子
「そうですか。わかりました。」

治療費以外にも毎日の生活費や花子の病院への通院費など出て行くお金はきりがない。 仕事を休んでいることでこれからの収入が不安な上、出て行くお金は普段より増えていく一方・・・。
多少なりとも生活は苦しくなる。老後のために蓄えてある貯金を切り崩すしかないのだろうか。

  • ※厚生労働省 平成20年患者調査:急性心筋梗塞での平均在院日数 26.2日

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④手術は成功!そして・・・

7月8日

次郎の手術は一日がかりだった。 手術後の医師からの説明では、手術はうまくいったものの、心臓の周りに脂肪がたくさん付着しており、その中から血管を探すのに手間がかかったこと、また、血管の狭くなっている部分がいろいろなところにあり、バイパスを繋げる部分を特定するのに時間がかかったことなどが告げられた。
手術により、次郎の心臓は長時間血流が不足した状態にあり、当初予想していたよりもダメージが大きく、全身に血液を送り出す力を十分に取り戻すまでには時間がかかるという。
そのため、しばらくは心臓の働きを助ける(補助循環)装置が付けられるとのことだった。呼吸も手術後しばらくは人工呼吸器に頼る必要があった。
次郎がようやく一般病棟に移ったのは、手術から2週間後のことだった。
手術の傷跡もまだ痛々しかったが、一般病棟に移ったことで花子の気持ちにもだいぶ余裕がうまれてきた。

花子は自宅から電車とタクシーを使い、毎日次郎の病院に通った。

次郎
「今までずっと走りっぱなしだったから、神様がここらで休憩しとけって言っているのかもな。」

始まったばかりのプロジェクトへの焦りを思い出し、それを払拭するかのように次郎は自分に言い聞かせた。

花子
「いやだわ。今までのお父さんの不摂生がたたっただけのことよ。」

ベッドサイドで次郎の着替えを整理しながら花子が軽くこたえた。

花子
「会社の健康診断を受けて再検査といわれても、何ともないからといってほうっておいたじゃない。血糖値もコレステロール値も高かったし、血圧もよ。心電図も異常って書かれていたわ。これからは、きちんと検査や治療を受けないとね。」

本当は今回のことでずいぶん憔悴していたのだったが、次郎の前ではいつもどおり元気に受け答えしていたのだった。

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⑤ 容態も安定!この先の仕事は?

7月29日

それから一週間もすると、次郎は病棟内をひとりで歩行できるくらいまで回復した。 退院が近づいてきたある日、会社の上司である佐藤と同僚の塩田がお見舞いに訪れた。

胸を押さえひざまずく次郎
佐藤
「やあやあ、元気そうじゃないか。」

がははと笑い飛ばさんばかりの勢いで佐藤が病室へ入ってきた。塩田は隣で額の汗をハンカチで押さえている。外の季節は夏へ移り変わっており、気温は夏日を超えたようだった。

次郎
「来るなら来るって言ってくださいよ。こんなみっともない姿で申し訳ない。」
佐藤
「いやいやこの近くにちょうど担当の取引先があってね。」

いつもスーツ姿でしか会ったことのない会社の人間に、パジャマ姿で会うのは病人とはいえ恥ずかしいものだった。

佐藤
「どうだい?仕事人間の次郎君だ。まさか病院で仕事なんてしていないだろうな?」
次郎
「そうしたいところでしたが、女房と看護師さんがうるさいもので。」

佐藤からは見えない位置で、次郎は花子ににらまれた。

佐藤
「今後のことを確認しておこうと思ってね。今のところ、塩田君やチームのみんなが頑張ってくれているので、君の穴埋めはなんとかなっているよ。」
次郎
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。このままいけば退院は来週の予定です。ただ退院前の検査によっては、延期もあるようです。退院後は1ヶ月ほど会社を休んで療養するように言われております。気持ちの上では今すぐにでも働けそうですが。」
佐藤
「そうか。復帰してもしばらく残業はやめておいたほうがいいだろうな。その頃はまだ残暑も厳しいだろうし、なるべく外回りがないように調整しよう。」

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⑥ 退院、そして・・・

退院に向けて、今後の食生活などの生活指導を受けた次郎。
同僚のお見舞いから約1週間後の8月6日、予定通り退院することができた。
医師からは、1ヶ月間の自宅療養を指示され、仕事も無理のない範囲で始めていくように指導された。
自宅療養中は体力の回復に努め、仕事中に倒れてから68日後の9月7日、無事仕事復帰を果たしたのだった。

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⑦ まとめ

主な治療内容 冠動脈(かんどうみゃく)バイパス手術
医療費(概算) 4,200,000円
入院期間 37日(7月1日~8月6日)
就業不能期間 68日
  • ※公的医療保険制度および高額療養費制度利用後の自己負担額は、この金額よりも低くなります。
    たとえば、公的医療保険制度による医療費の自己負担を3割、高額療養費制度を利用する際の年齢区分を「70歳未満」、所得区分を「一般」、医療費の各月の内訳を次の前提とした場合、自己負担額は約160,000円となります。
    7月:4,050,000円
    8月:150,000円
  • (注)本事例は、各傷病で想定される具体的な症状や治療・経過を基に作成しており、金額は2012(平成24)年4月の診療報酬・公的医療保険制度に基づいて算出しています。

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